2013年05月28日

環境の魅力

東京駅前丸の内2丁目に位置する「三菱一号館」はレプリカ再建された建築物。
この中にある「一号館美術館」に入るため、入り口前で静かな列を作って並んでいる人たちにはある共通点がある。
ファッションも態度もヨーロッパ志向で、アメリカンな人がいない。若い人は少なく、中年カップルが目につく。銀座の客と比べてもお洒落な男性の比率が高く見えること。
日曜日、お洒落な50〜60代男性が中庭のベンチで女性と談笑する後姿を見ると、これまでのその年代の男性とは感覚がずいぶん違うのだろうな、と思わされる。

DSC_0190-2.JPG


この「三菱一号館」というのは、元々は1894(明治27)年、英国人建築家ジョサイア・コンドルによって設計された洋風貸事務所が入るクイーン・アン様式の建築だった。この一号館を契機として、丸の内には煉瓦造建築が続々と建てられ、1910年頃には「一丁倫敦」と呼ばれる街並みを形成するようになっていたという。
関東大震災、第二次世界大戦での破壊も免れて、1970年頃には明治時代洋風建築として文化的価値が高いと評価されていたものの、老朽化を理由に1968(昭和43)年に解体された。
これを、2010(平成22)年になって、解体前の部材と新しい部材を組み合わせて、不自然でないように、また安全なレプリカとして再建した。

DSC_0182.JPG


レプリカは本物ほどの重量感がないように見えることが多いが、ここでは庭の設計を重視して環境全体を整えることに成功している。
建築家ジョサイア・コンドルは、旧岩崎邸庭園や旧古河邸庭園の設計し、庭にバラを好んで使っていたということから、40種のバラを植栽に使って、コンドルの庭の雰囲気を生かしたという。バラのなかにはイギリスから直接運んだバラ、オールドタイプのバラもある。
それを知ってみると、中庭に座るお洒落な男性はバラが似合う人にも見えるのだった。

DSC_0189-2.JPG


環境が発する情報に魅力を感じる人が集まる。
その環境が好き、という共通項で似た匂いの人が集まる。
一度は更地になった都市の真ん中の場所であっても、ストーリーをもって環境を整備すると、来てほしい人たちが集まってくる。


posted by ラパンアジルblog at 11:28 | TrackBack(0) | 品質 | 更新情報をチェックする

2013年05月02日

なんちゃって制服

制服のない高校に進学した高校生が着る、制服のようなスタイルの服を「なんちゃって制服」という。大手通販セシールにも「なんちゃって制服」の取り扱いがあり、女子ではチェックプリーツスカート、シャツ、リボン、カーディガンなどが揃う。
なぜ、なんちゃってを着るか? 「学校へ着ていく服を悩むのは面倒だから」という。
ふ〜む。

制服のある学校で、制服を着るのを嫌っていた高校生の卒業式が終わり、古い制服を処分しようとしたら、「まだ置いといて」と言われた母親。下級生にあげるのかと尋ねると、「みんなで集まる時に着る企画がある」という、曰く「卒業してから着ると、なんちゃってみたいで面白いから」という。
ふ〜ん。

制服を着るということは、<その世界の住人と認められる>と了解済みだから、その世界のルールを守っている、というアピールにもなるし、それに対して対応もしてもらえるはず。
<制服で博物館へ行けば入場料の割引は可能なはず>となっている。
着用していれば説明不用のところに、制服のラクさがある。

これを利用した制服のコスプレとなると、裏返しの心理という面白さもあるのだと思う。
<制服を着ている人のキャラを了解した上で、ウラをかく>といった面白さが・・。
さらに犯罪上、制服を使った詐欺というのも、こういう了解を利用している。
<この制服の人なら預けて大丈夫と思ったが、トンズラされ、預けたものはなくなった>などと。

P4110514.jpg


こんなことを言っている私は幼稚園から14年間を同じ制服を着用し、卒業式で「この制服を二度と着ない」ことに感激したほどだったから、制服嫌いだと思っていたのに、すり込みの方が強かったらしく、仕事用のマイ制服を作ったことがある。
バブル時代のことで、リクルートスーツも、いまの女子リクスーように<黒系テーラード+ショートなタイトスカート>に固定化される前、働く女性は高級ブランド服の着用を謳歌していた。
その頃にマイ制服を作ろうとしたのは、「気を遣わなくてもきちんと見えるには制服が便利」との考えからで、「なんちゃって制服」と同じ理屈からだった。

さて、マイ制服を作ってみると、@着用すれば整って見える、A伝統的なスタイルに準じる、B活動しやすく暑さ寒さに対応しやすい、には適ったものの、「らしさ」が欠けていた。(>_<)

P4110516.jpg


結果として、服装が自由な職場でマイ制服を作るには、たとえば「デヴィ・スカルノ」クラスの強烈な「らしさ」が必要だとわかった。
また、職場の制服には、階級を表すなにかが付与されていて、それを見ることで、ポジションがわかるようになっている。
これもないところで、「らしさ」をだそうというのだから、ハードルは高い。
逆に言えば、着用した人は誰でも「デヴィ・スカルノ」に見えるくらいのコスプレ度の高さがマイ制服には求められる、ということのようだった。

*「デヴィ・スカルノ」ファッションのキイワードは、ビビッドカラー、胸開き、フリル襟、スーツ、ハイヒール、盛り髪。

ラベル:人間観察
posted by ラパンアジルblog at 14:03 | TrackBack(0) | 視点 | 更新情報をチェックする