2015年09月03日

飛躍する考え

9月1日から3日に第17回日本感性工学会大会が文化学園を会場に行われた。
豊富なプログラムの中に坂部三樹郎さんの特別講演「ファッションデザインと感性」があり、若いデザイナーの坂部さんが感性についてどう捉えているかと関心を持った。
坂部さんはアントワープ王立美術アカデミーを主席で卒業して話題になった人。アントワープ王立美術アカデミーは90年年代に「アントワープの6人」が脚光を浴びてからファッションデザイナーを輩出する有名校になったが、もともと伝統のある芸術学校で、かつて短期間、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホも在籍したといわれる。
 私は90年代後半にベルギー国内でフランドル絵画を見る旅行をしたことがあり、アントワープの著名な女性シェフのレストランで食事をしていたところ、隣席に着いたのが王立美術アカデミーの教授陣だった。その時に見たおしゃれな雰囲気は強く印象に残っている。
伝統と斬新なものがミックスしているのが魅力的なアントワープで学んだ坂部さんが、ファッションと感性についてどんな捉え方をしているのか話を聞くのが楽しみだった。

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話を聞いて良かったと思ったことは2点あった。
ひとつは、「ファッションはその時その瞬間を感覚で捉えるもの」という考え。
これは作り手と着る側のどちらから見てもそうだと思えた。
カール・ラガーフェルドはファッションに一番大切なものは何か?と聞かれて、「フレッシュさ」と答えたそうで、これを坂部さんは「新しいとは違う、その場で感じるもの。直感。」と表現した。
もうひとつは、「ファッションは論理通りにはいかない」という点で、コンセプト通りに進めれば進めるほど、面白いからは離れていく、ということ。
ファッションでは、コレクションの発表のために大人数が共同作業で膨大な時間をかけて準備するが、ショーが始まる直前に、デザイナーが作品にハサミを入れて、ラインを変えてしまう、ということが起きるのはここに理由がある、ということ。
これはファッションに限らず、モノ、コト作りに共通したことと思えた。

感覚で捉える直感を大切にするということ、論理性からの飛躍が必要という点は、まさに「イノベーションを起こすには分析的だけではない飛躍が必要」ということと共通していて、興味深かった。

posted by ラパンアジルblog at 15:59 | TrackBack(0) | イノベーション | 更新情報をチェックする

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