ジーンズメーカーの企画というのはこうだ。
<地域の働く人に、ひとり2本のジーンズを提供する。職場で仕事中に穿き続けてもらい、1週間ごとにメーカーが回収して洗濯にかける。1年間で2本を穿き終わり、中古デニムとして商品にする>
穿く人の職業は様々。漁師、農家、大工、壁職人、車修理工・・職業が違うから、働き方も違う。そこでジーンズは穿いた人独自のくたびれ方、色落ちの仕方になる。
たとえば壁紙職人が穿いて仕事したジーンズでは、腰に下げて使う道具袋が当たり続けたために、前ボタンの影がくっきり浮き上がっている。
1年間のその職業ならではの体勢や動きによってできた色落ちの具合と、それにまつわるストーリーが生まれているのだった。
ラベル:商品力